Well-Being 5年目からの展望

医療・保健・福祉の人材育成 Well-Being
社会福祉士・介護福祉士・介護支援専門員

平成1410月だったか、21世紀の介護を考える会を主宰する桐石さんに、1級ホームヘルパーの同行訪問実習の依頼をしたのが出会いの始めであった。その時、1時間30分程介護や看護の話題に花を咲かせた。

 その頃は同行訪問の感謝の気持ちだけで、その意味を考えることはなかった。しかし4年半 お付き合いを重ねていくうちに、桐石さんはまず初対面の受講生に対して、学習意欲を引き出し高めていこう、結果的に教えたことを現場に生かしてほしい、という意欲がとても高いことが分かってきた。引き受けて頂いた講義用の資料を必ず何日もかけて作成される、満足して頂いたかどうかのアンケートを重視され、次の研修に生かしていく、授業での質問に講師が分からない場合にも、尋ねると気持ちよく親切に応対してくれる、そういうことが分かってきた。遡って考えてみると、同行訪問を引き受けられた意味は、人材育成を通じ地域に貢献していくという強い信念に息づいているということが分かってきた。そうした信念に基づいて講義や現場に向き合っている桐石さんには、随分と有意義なアドバイスと指導を頂きながら助けられてきた。

 Well-Beingを起ち上げることを周辺の人には誰一人として受け入れてもらえず、理解を得られなかった。しかし桐石さんには全ての事情を話し、理解して頂き、応援して頂いた。そして、525日、ちょうど本日はWell-Beingが5年目を迎えようとするその日、何の展望もないというジレンマから脱してあかりが見えてくる気がしている。

 関西圏の深刻なホームヘルパー不足と介護難民の発生の予測、これは関西圏だけではなく関東圏でも同じで、日本の介護の現実である。訪問介護や訪問看護の事業者も、前回の介護保険の改正により廃業するところもあり、研修一本でやってきたWell-Beingの主力事業が、営利、非営利を問わず、現場のサービス提供側の方と受け手の当事者、家族の方々の環境や条件の改善に、直接役立つ事業展開に転換していくものにしたいと考えている。

 非営利の活動を中心に考えているものに限定して、2点書かせて頂く。まずは、NPOやボランティア活動(有償・無償を問わず)活性化と連携、新規創出を図りながらマンパワーを新しく創出していきたい。

 早急な人材育成については、在日外国人の方々の力を引き出したい。フィリピンからの受け入れ態勢が国で進んでいるが、現在、在日外国人の方で永住、定住、配偶者が日本人のいずれかのビザがあれば国内での自由な職業選択ができる。厚生労働省では在日外国人のホームヘルパー等、在宅は想定できないとしているが、日本語やコミュニケーション能力が問題なければ、在宅での勤務は法的に問題はない。施設や病院では、明るい性格や片言の日本語が高齢者に受け入れられ、スムーズに機能している実例も多くある。勤務形態について、日本人を一部施設から在宅へ移行し、施設の人員不足を在日外国人が補完していく方法もある。

 こうした部分が現実化していくために厚生労働省、法務省にも何度か確認、相談し、実際にフィリピン介護士協会を起ち上げようとしている方を「シルバー新報」主任記者の方から紹介されお会いしたり、在日外国人のホームヘルパー養成を考えている事業者の方にもお会いしたりしてきた。

 施設や在宅事業所が、在日外国人やボランティア団体に活動協力費として支払って、マンパワーとして活用することは、それが就労や労働の対価にもあたらないボランティアであれば法務省は認めている。その場合、交通費・食費などの実費を渡すことは許される、ホームヘルパー養成事業への参加は正規の就労ができないことを条件に受講を認められる、という2点が判明した。この2点が組み合わされ、在日外国人の方々でホームヘルパー2級研修を修了した方が施設や病院にボランティアとして行って施設は活動協力費を支払う、日本人の勤務者は在日外国人を育成しトラブルがなければ在宅へ回る、という人の流れのシステムを創出することができれば、深刻な人手不足と、サービスを待つケースに幾許かの効力が生じると考える。しかしこの場合の大きな問題は、施設や在宅事業者側が介護報酬として正規の人員にカウントして請求できない点にある。3種のビザ以外にある21種のビザのいくつかに職業の選択の自由を与えていく、職業の自由を保障している学者、コックなどの職種に介護職対象の介護ビザを新設する、将来的にボランティアとしての時間数を介護報酬として反映していくシステムをつくる等、中長期的にはこのような部分をクリアしていく必要がある。

 現段階では、介護報酬を請求しないことを前提に採用する側の面接を経て、活動協力費を支払いながら在日外国人の方をマンパワーとして導入する、3種のビザの方々の採用を行い、同時にコミュニケーション能力を支援しながら、在宅介護の担い手として育成することが考えられる。ハードルやリスクはあるし、時間もかかるが、いずれにしても日本人のホームヘルパーが面接に来ない状態を改善していくための新しい人的社会資源を創出していくことに、Well-Beingとして、また有志と起ち上げた全国ホームヘルパー・ガイドヘルパー協議会として、できるだけ深く関わっていきたいと考えている。

 もう一つは施設、在宅で蔓延している医療行為の問題について関わっていきたい。条件付きで介護職に参入を認められた吸引行為について、国をはじめ行政サイドでの技術習得研修が開催されていない。1年前より開設した協議会のフリーダイヤルにはヘルパー事業所から「ホームヘルパーは本当に吸引していいのか?」という質問が多く寄せられた。また主治医側のクリニックや医院からも電話があった。吸引についての情報が十分現場に浸透していない。胃ろうについても多くの声が寄せられた。「老々介護、老障介護(老人が障害者を介護する)において虐待のケースに発展している」「サービス提供責任者として、事故の際の責任を取ることを前提にヘルパーに手伝わせている」「事故が心配され、ヘルパーにはどのようなケースでも医療行為だから関わらないと指示しているが、家族の負担を思うと忍びない」。

 老施協は特養の医療提供常態化を明らかにし、喀痰吸引では、介護職の実施が看護職を上回り、夜間では「経鼻、経管栄養」「胃ろう」「褥瘡処置」で同様となっている。こうした問題を少しでも改善できる研修や運動に関わっていければ、と考えている。